もちもちのお米「ミルキークイーン」の特徴は?おいしい炊き方や食べ方
管理栄養士の大槻万須美です。
お米の粒が乳白色であることと、「良質米の女王」という意味をあわせて名づけられたという
ミルキークイーン。
ミルキークイーンは、「
低アミロース米」とよばれる、ある特徴をもったお米なんですよ。
コシヒカリをルーツにもつミルキークイーンのおいしさやおすすめの食べ方などについて詳しく解説します。
ミルキークイーンってどんなお米?
平成元年から平成6年にかけ、農林水産省を中心に「スーパーライス計画」という新しいお米の大々的な研究開発が行われ、後世に残るたくさんのお米がうまれました。
その中で、コシヒカリを突然変異させることにより、粘りの強い部分を特化させた低アミロース米のミルキークイーンが誕生しました。
低アミロース米とは、一般的なうるち米に比べて、でんぷんの構成成分であるアミロースの含有率が低いお米のことをさします。
通常のうるち米に含まれるでんぷんは、20%前後のアミロースと80%前後のアミロペクチンから構成されていますが、ミルキークイーンのアミロース含有量は9〜12%(アミロペクチン含有量は91〜88%)といわれており、ちょうど
うるち米ともち米の中間のような食感にたとえられます。
日本では粘り気のあるもちもちしたお米が好まれる傾向にありますが、数あるお米の中でも特にミルキークイーンは、
もっちりとした食感で粘りが強く、しっとりとしていてなめらか。口にした瞬間から甘みやうま味もしっかりと感じることができると評判の銘柄です。
さらに冷めてもおいしいという特徴があります。
コシヒカリと同様の栽培特性をもっているため、生産地はコシヒカリと同じく日本全国に分布しています。中でも茨城県と新潟県の生産量が多くなっています。
ミルキークイーンを炊くときのコツ
ミルキークイーンを最大限においしく炊くには、一般のお米を炊くときよりも
水加減を減らすのがポイントです。
ミルキークイーンの水分含有量は一般のお米と同程度でありながら、やわらかく炊き上がりやすいため、水加減を通常より5%〜15%程度少なく(
炊飯器の目盛りの線より1〜2mm下に)して炊きましょう。米重量に対して1.25倍〜1.3倍の加水量が目安です。
このような水分量で炊くことで、粘りや弾力が際立つ仕上がりになります。
ミルキークイーンのおすすめの食べ方
ホテルや料亭などでも出されることが多いというミルキークイーンは、甘みやもちもち感がしっかりと感じられるお米。白ごはんとしてじっくりと味わうことができ、薄味のおかずとも相性がよいので、和食の主食に最適です。
そしてさらにおすすめなのが、
炊き込みご飯です。
実は、炊き込みご飯は調理によって粘りが低下するため、粘りの強いミルキークイーンで作るとおいしく仕上がるんですよ。
ある食味検査によると、光沢、粘り、柔らかさなどのすべての調査項目や総合評価において、ミルキークイーンの炊き込みご飯はコシヒカリの炊き込みご飯より優れていたという結果が得られたことも。
逆に、さらっとしたお米のほうが好まれる、おかゆやお茶漬け、お寿司やチャーハン・カレーには不向きであるといえるかもしれません。
また、ミルキークイーンは、
冷えたあともかたくなりにくいという特徴があります。もちもち食感の持続性がよいため、おにぎりやお弁当、冷凍・冷蔵ごはんでの評価も高くなっています。
ミルキークイーンを混ぜたお米で作ったおにぎりはかたくなりにくく、ブレンド米としても人気があります。
買ったお米にもちもち感が足りないときや、お米が古くなってパサパサになってしまったときにも、1〜2合分だけミルキークイーンを混ぜて炊くと粘りやしっとり感が出るのでおすすめですよ。
農林水産省 「ミルキークイーンについておしえてください」
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0004/02.html
低アミロース良食味水稲品種「ミルキークイーンの育成」
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/archive/files/2-2.pdf
大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、離乳食講座などの料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。
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