お弁当のごはんがかたい?冷めてもおいしい炊飯のコツ【栄養士コラム】
栄養士の堀口泰子です。
新年度からお弁当づくりが始まる方も多いのではないでしょうか。春の行楽やピクニックでお弁当をつくる機会も増えますね。
そこで、冷めてもかたくならないごはんの炊き方とお弁当づくりのテクニックをご紹介します。
お弁当のごはんがかたくなる理由
炊いたごはんが時間が経つにつれておいしくなくなる原因は、お米でんぷんの性質によるものです。生のお米はかたくて食べることができませんが、水と熱を加えることで、でんぷんの結晶同士の隙間に水分が入り込み、やわらかいごはんの状態になります。これをでんぷんのα(アルファ)化といいます。
ごはんが冷めて時間が経つにつれ、でんぷんの隙間に取り込まれていた水分が抜けることで過熱前のでんぷんに戻ってしまいます。これをでんぷんのβ(ベータ)化といって、お米のでんぷんが生のお米と同じ状態になることで、ごはんがかたくなるのです。
冷めてもおいしい炊飯テクニック
1.冷めてもおいしいお米を選ぶ
お米のでんぷんにはアミロースとアミロペクチンがあります。アミロースは水分を失いβ化しやすいので、お弁当にはアミロペクチンを多く含むお米の品種を選びます。
もち米はアミロペクチン100%でもちもちしています。
また、低アミロース米と呼ばれる「
ミルキークイーン」などの品種の他に、比較的アミロペクチンが多く、ねばりがある代表的な品種として、「
コシヒカリ」や「
あきたこまち」などもおすすめです。
粒が大きくしっかりとした粒感のあるかためのお米も水分を逃しにくい特徴があるので、お弁当に向いていると言えそうです。お好みに合わせて、さまざまな産地や品種のお米を試してみるのも楽しいですね。
もち米と混ぜて炊く
白米ともち米を9:1くらいの割合で混ぜて炊く方法もおすすめ。アミロペクチン100%のもち米を加えて炊くことで、いつも使っているお米に、もちもちした食感をプラスすることができます。
炊飯の際は水量を減らす必要があるので下記を参考にしてみてください。
<白米にもち米を混ぜて炊く場合の目安>
3合:白米2.7合+もち米0.3合(水加減は大さじ1杯分減らす)
2合:白米1.8合+もち米0.2合(水加減は小さじ2杯分減らす)
2.十分に浸漬する
お米は十分に浸漬して炊飯します。白米は少なくとも30分、玄米は5〜6時間が目安です。気温が高くなる季節は、予約炊飯で浸漬時間が長くなりすぎると細菌の繁殖に繋がるため、冷蔵庫で浸漬することをおすすめします。
もし浸漬する時間がとれないような時は、あらかじめ冷凍保存しておいたごはんを解凍してお弁当に使っても良いでしょう。
なお、水分を多めにしてお米をやわらかく炊いても、お弁当では余分な水分が雑菌の繁殖に繋がるため、注意が必要です。
3.お米を油でコーティングする
水加減をしてから油をひとたらしして炊飯します。古米の炊飯にも使われる方法ですが、炊き上がりのお米にツヤが出て、程よいかたさと、ひと粒ひと粒の米離れが良くなります。
4.炊いたらしっかり混ぜる
炊き上がりはしゃもじで切るように混ぜます。余分な蒸気を飛ばして蒸気を米のひと粒ひと粒にまとわせることで、米粒の表面のベタつきを防ぎながら、内側の水分を保つことができます。
5.お弁当にはふんわり詰める
ご飯を詰める時は、米粒を潰さないようにふんわり詰めます。さらに必ず冷ましてから蓋を閉めるようにします。
いかがでしたか。お弁当用のごはんは米粒の内側の水分を保ち、米粒の表面の余計な水分は残さないことがポイントとなりそうです。美味しいお弁当づくりの参考にしてみてくださいね。
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堀口泰子
栄養士。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。健康食育事業やアスリートサポートに従事。健康的で美味しく食べる食事術を伝える。講演、栄養指導、コラム執筆、レシピ、商品開発、料理講師など幅広く活動。離乳食から介護予防まで様々な食育活動のなかで、健康に役立つお米の食べ方を紹介。スポーツの現場ではジュニア育成と競技競技力向上ための心と体の成長に注力している。
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