おかず多め、ごはん少なめの献立は本当に痩せる?【栄養士コラム】
栄養士の堀口泰子です。
「痩せたい!」と思ったら、ごはん量を減らすことが一番手軽と考える方は多いかもしれません。しかし、意外と知られていない落とし穴があることはご存知でしょうか。
そこで今回はおかず多め、ごはん少なめの献立は本当に痩せるのか、どんな落とし穴が隠れているのか、確認してみましょう。
ごはんを減らすことで起こること
ごはんを100g減らすと、摂取エネルギー量は156kcal削減できます。しかし、ごはんにはエネルギー量の他に、たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素が含まれています。
カロリーや糖質量を減らすことができても、
他の栄養素まで減らしてしまうことになります。筋肉をつくるたんぱく質、エネルギー代謝や体調を整えるビタミン、ミネラル、腸内環境を整える食物繊維まで削減していることは理解しておく必要があります。
単純にごはん量を減らすだけでは、代謝低下や腸内環境悪化などにより、
痩せにくい体質をつくることにもなるのです。
また、ごはんはよく噛めるので満腹感を得やすい特徴があります。さらに幸せホルモンと言われるセロトニンの材料となるトリプトファンも含まれます。ごはん量を減らすことでストレスや過食の原因になることにも注意が必要です。
このように、単純にごはん量だけを減らすのはさまざまなリスクがあります。
おかずを増やすことで起こること
ごはんを減らした代わりにおかずで栄養素を補った場合を見てみましょう。
ごはんのたんぱく質を卵(1/2個)で補うとします。ごはん(100g)の脂質が0.3gに対し、卵(1/2個)の脂質は2.6gです。このようにたんぱく質を補おうとすると脂質の摂取量が増えてしまいがちです。さらに食物繊維などを補うために別のおかずも用意する必要があります。
では代わりに、茹でアスパラガスで補うとします。ごはん(100g)分のたんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルは茹でアスパラガスをおよそ100g食べると補うことができます。
しかし、茹でアスパラガス100gはおよそ6本なので、1食で食べるにはかなりの量となります。さらに、
味付けをすると塩分摂取量も増えますし、調理をすれば脂質の摂取量も増えてしまいます。
理想はごはん6割おかず4割
ごはんは脂質が少なく、腹もちが良いエネルギー源です。たんぱく質、食物繊維、ビタミン、ミネラルを含むので、献立としての役割りが大きいことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
日本人の理想的なエネルギー産生栄養素のバランスを踏まえて、
ごはん6割、主菜と副菜のおかず4割の献立にすることで簡単に栄養バランスを整えることができます。
その逆に、おかず多め、ごはん少なめの献立は、食材の選択や調理の制限、手間を要することを念頭におく必要がありそうです。本当に痩せる献立を考える場合、一番手軽な方法はごはんが多めの献立なのです。
文部化科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html日本人の食事摂取基準(2020 年版)(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
堀口泰子栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じてさまざまな食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。
HP:
https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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