炊飯器の「早炊きモード」は何が違う? もっとおいしく炊くコツは?
管理栄養士の大槻万須美です。
ごはんを炊くのを忘れていた、通常モードで炊くと食事の時間に間に合わない……など、炊飯時間の短縮のため、炊飯器の「
早炊きモード」を活用しているご家庭も多いのではないでしょうか。
早炊きと普通炊きの工程やおいしさの違いなどにスポットを当て、おいしく炊くコツをご紹介します。
炊飯の基本 炊飯器はどんな工程でお米を炊いている?
通常の炊飯工程は大きくは4段階に分けられています。
1.吸水2.沸騰3.炊き上げ4.蒸らし炊飯器の性能やお米の量、水温などによっても差がありますが、普通炊きのモードで炊飯した場合にかかる時間は50分〜1時間ほど。
スイッチを入れたあと、多くの機種では自動でお米の合数を計測し、最適な炊飯時間を判定しています。そして、30分程度吸水をしてから沸騰工程に入り、沸騰状態を持続しながら炊き上げ、10〜15分程度の蒸らしを経て出来上がりとなります。
通常モードでは蒸らし時間も工程に含まれている場合がほとんど。そのため、出来上がれば、すぐにほぐし作業を行うようにしましょう。
十字に切るようにしゃもじを入れ、ごはんの表面から底まで、ごはんの粒をつぶさないようにやさしく1/4ずつひっくり返すようにしてほぐします。余分な水分をとばし、べたつきや乾燥などのムラをなくすことで、さらにおいしくいただくことができます。
早炊きモードと通常モードの違いは?
早炊きモードでは、機種によって短縮している工程が異なっていることもありますが、大きくは次の3点のいずれかまたはすべてを省略することで、炊飯時間を20分以上短くしているものが多いようです。
1.吸水工程をカット、または短縮2.沸騰・炊き上げの電力を高くすることで時短3.蒸らし時間の短縮機種によって異なりますが、3点のいずれかまたは組み合わせることで大幅に炊飯時間を短縮しています。
吸水は、ごはんのうまみ形成や芯のないごはんに炊き上げるためにとても大切な工程です。また、蒸らしの工程では、ごはん粒の表面の余分な水分を飛ばして均一にすることで、よりおいしいごはんに仕上げることができます。
そのため、通常モードに比べると、炊き上がりにムラが出来やすい、かための炊き上がりになりやすい、表面がべちゃつきやすいなど、おいしさに違いが出てしまうこともあるのです。
早炊きモードでもおいしく炊き上げるコツ
炊飯器の機種だけでなく、お米の種類、お米の量などによっても仕上がりには差が出来るようです。
もちろん、早炊きでも十分おいしく炊けるように炊飯器も進化していますが、さらにお好みの炊き上がりに近づけるコツをご紹介しましょう。
炊き上がったごはんがかたい場合→蒸らしの時間を延長する。次回は炊く前にぬるま湯で5分でも浸水する。水加減を少し多めにする。
炊き上がったごはんがやわらかい場合→やさしくほぐし作業をして表面の水分を飛ばす。次回は水加減をひかえめにする。
うまみや甘みが少ない場合→次回は冷たい水で炊く(氷を1〜2個入れてもOK)。
基本的に蒸らし工程が省略されている場合が多いので、炊き上がってもすぐにふたをあけずに少しでも蒸らしておく方がおいしく仕上がります。そして、食べる直前にほぐして盛り付けるようにしましょう。
早炊きモードで炊いたごはんは、長めに保温するとパサつきやすくなるため、炊いたあとは、1食分ずつラップで包んで粗熱をとり、冷凍庫で保存することがおすすめですよ。
ご家庭の炊飯器の早炊きモードが、炊飯のどの工程を省略しているのかを確認しておくのも重要です。
早炊きモードの炊き上がりに物足りなさを感じる場合は、省略されている工程を少しだけ延長したりアレンジすることで、満足のいくおいしさに近づけていきましょう。
農林水産省「どうしてお米は、炊(た)く前に水につけておかないといけないのですか。」
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0205/01.html農林水産省「お米のおいしさがアップする炊き方と保存法」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/wagohan/articles/2111/spe3_01.htmlタイガー魔法瓶株式会社
https://www.tiger-corporation.com/ja/jpn/パナソニック「炊飯器の早炊きはどのくらい早い?「時間」「おいしさ」普通炊きとの違い」
https://panasonic.jp/life/food/110102.html
大槻万須美
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。
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